子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題
子どもの発達段階に応じた支援の必要性
子どもはひとりひとり異なる資質や特性を持っており、成長には個人差があります。一方、成長過程においては発達段階ごとに共通して見られる特徴が多くあります。子どもは発達段階ごとに視野を広げ、認識力を高め、自己探求や他者との関わりを深め、志を高めていきます。そのためには発達段階における特徴を踏まえた成長を達成することで、継続性のある発達が期待されます。
- 乳幼児期
- 学童期(小学校低学年)
- 学童期(小学校高学年)
- 青年前期(中学校))
- 青年中期(高等学校)〜青年後期
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乳幼児期
重視すべき課題
- 愛着の形成により、人に対する基本的信頼感を獲得する。
- 基本的な生活習慣を形成する。
- 十分に自己を発揮し他者の受容による自己肯定感を獲得する。
- 遊びなどを通じ、子ども同士の充実した体験活動による道徳性や社会性の
芽生え。
乳幼児期は、母親や父親など特定の大人との間に愛着関係を形成する時期です。乳幼児は愛情に基づく情緒的な絆による安心感や信頼感の中ではぐくまれながら、身近な人や周囲の物、自然などの環境と関わりを深め、興味・関心の対象を広げ、認知や情緒を発達させていきます。また、身体の発達とともに食事や排泄、衣服の着脱などの自立が可能になり、食事や睡眠などの生活リズムが形成される時期です。
このように、周囲の人や物、自然などの環境と関わり、全身で感じることにつながる体験を繰り返すことで、徐々に自分と違う他者の存在やその視点に気づきはじめます。遊びなどによる体験活動を中心に、道徳性や社会性の原点を持つことになる時期です。 -
学童期(小学校低学年)
重視すべき課題
- 「人として、行ってはならないこと」 についての知識と感性を養い
集団や社会のルールを守るなど、善悪の判断や規範意識の基礎を形成する。 - 自然や美に感動する心を育成する。(情操を徐々に養っていく)
小学校低学年にあたる子どもは、 幼児期の特徴を残していますが、 大人が『いけない』と言うことは、やってはいけないといったように、大人の言うことを守りながらも、善悪についての理解と判断ができるようになる時期です。また、徐々に言語能力や認識力も高まり、自然等への関心も増えていきます。
学童期(小学校高学年)
重視すべき課題
- 抽象的な思考へ適応したり、他者の視点に対して理解する。
- 自己肯定感を育成する。
- 自他の尊重の意識や他者への思いやりなどを育成する。
- 集団の中での役割を自覚し、主体的な責任意識を育成する。
- 体験活動などを通じ、実社会への興味や関心を持つきっかけを作る。
9歳以降の小学校高学年の時期には、物事をある程度、事象化して認識することができるようになります。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となります。自分のことも客観的にとらえられるようになりますが、発達の個人差も顕著になります。これがいわゆる「9歳の壁」です。身体が大きく成長し自己肯定感を持ちはじめる時期ですが、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず劣等感を持ちやすくなる時期でもあります。また、集団の規則を理解し、集団活動に主体的に関わり、遊びなどでは自分たちで決まりを作ってルールを守ようになります。小学校高学年になるこの時期は「前思春期」といい、第2次性徴が現れてきます。性アイデンティティを確立し、自己認識を高めていく時期です。
- 「人として、行ってはならないこと」 についての知識と感性を養い
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青年前期(中学校)
重視すべき課題
- 人間としての生き方から自己と向き合い、向上心を持つなど自己の在り方に
思考をめぐらせる。 - 自立した生活を営む社会の一員として力を育成する。
- 法やきまりの意義を理解し、公徳心を自覚する。
中学生にあたるこの時期は、「思春期」に入り、親や友達とは異なる自分独自の内面の世界があることに気づきはじめるとともに、自意識と客観的事実との違いに悩み、さまざまな葛藤の中で自らの生き方を模索しはじめる時期にあたります。また、大人との関係よりも友人関係に自らへの強い意味を見いだします。親に対する反抗期や親子のコミュニケーションが不足しがちな時期でもあり、思春期特有の課題が現れてきます。仲間同士の評価を強く意識する反面、他者との交流に消極的な傾向も見られます。さらに、性ホルモンの分泌により第2次性徴が顕著に現れる時期でもあり、月経発来(初経)や乳房の変化、精通や筋肉の増強、恥毛の出現など、身体的にも心理的にも大きな変化を迎えます。性意識が高まり、異性への興味・関心も高まる時期でもあります。
- 人間としての生き方から自己と向き合い、向上心を持つなど自己の在り方に
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青年中期(高等学校)~青年後期
重視すべき課題
- 人間としての在り様から、自分の生き方に思いを馳せ、
自ら選択し進路を決定する。 - 他者の善意や支えへに感謝する気持ちを持ち、それにこたえていく。
- 社会の一員としての自覚を持った行動をする。
親の保護のもとから社会へ参画し貢献する、自立した大人となるための最終的な移行時期に入ります。思春期の混乱から脱しつつ大人の社会を展望するようになり、大人の社会でどのように生きるのかという課題に対し、真剣に模索する時期です。また、性ホルモンの分泌の安定に伴い、性意識も確立してくる時期です。しかし、正確で十分な知識が得られないことにより、自己の性の健康が保持・増進できない場合も少なくありません。インターネットやSNS等で情報発信・入手が容易にできる時代だからこそ、誤った情報や偏った解釈により生命や性への意識が混乱し、またピアプレッシャー(仲間からの圧力)などにより、安全で望ましい性行動を発展させることが難しい場合もあります。
- 人間としての在り様から、自分の生き方に思いを馳せ、
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ライフスキル教育に基づいた「生命と性の健康教育」
小学校〜大学生までの発達段階別の教育を重要視していますが、さらに、『生命』、『性』に関して、生きる力を育むためのライフスキル教育を導入しています。
ライフスキル教育とは、ライフスキルはWHOが世界各国に提唱する、これから世界で⾃⼰実現していく⼦どもたちの教育⽬標であり、10の能⼒要素があります。それは、「意志決定」、「問題解決」、「創造的思考」、「批判的思考」、「効果的コミュニケーション」、「対⼈関係スキル」、「⾃⼰認識」、「共感性」、「情動への対処」、「ストレスへの対処」であり、3年間の積み上げ式の『⽣命と性の健康教育』では、こどもの『⽣きる⼒』に着眼しプログラミングされ、ライフスキル教育のすべての要素が学習内容に組み込まれています。さらに、複数の研究成果によって導かれた内容をもとに考案しており、随時、現代の若者に合った学習方法への改良も行っています。